旅を学びにする|子どもが旅から何を持ち帰れるか、旅先で見せたいものと旅の前後の会話
旅から帰ってきて「何がいちばん楽しかった?」と聞くと、ホテルのプールと答える。
子連れの旅行ではよくあることだと思います。
それはそれで大事な思い出です。ただ、旅には教室ではできない学びがたくさんあるので、少しだけ親が手を添えると子どもが持ち帰るものが変わってきます。
この記事では旅を「学び」にするために、旅先で何を見せるかと、旅の前と後にどんな話をするかをまとめます。
この記事でわかること
- 子どもが旅から持ち帰れる4つのもの
- 理科・社会・歴史・芸術、旅先で見せたいものの選び方
- 旅の前・旅の最中・旅の後にできること
- 旅を勉強にしすぎないための注意
子どもが旅から持ち帰れるもの
学びは「本物を見た」だけではない
旅の学びというと博物館や工場見学を思い浮かべるかもしれません。
もちろんそれも1つですが、子どもが旅から持ち帰るものはもう少し広いと思っています。
| 持ち帰れるもの | たとえば |
|---|---|
| 本物を見た記憶 | 教科書で見たクジラ、工場の機械、お城の石垣 |
| 「なんで?」という疑問 | 海の色が違うのはなぜ、この町は何で栄えたのか |
| 違いに気づく力 | 言葉、食べもの、時間の過ごし方、お店の開く時間 |
| 自分でやった経験 | 切符を買う、注文する、地図で道を探す |
この中で親がいちばん手を添えやすいのは「疑問」と「自分でやった経験」です。
本物を見せるのは旅がやってくれるので、親の役目は子どもの「なんで?」を拾うことだと思っています。
遠くに行かなくても学びはある
旅の学びは遠くへ行くほど大きいわけではありません。
僕らは今海外で暮らしていて、旅は娘の学校の長期休みに1回ずつです。行き先も暮らしている地域とその周辺が中心になっています。
それでも、となりの街に行くだけで、言葉や食べものの違いに出会います。
近場の1泊2日でも何を見せて、何を話すかで、子どもの持ち帰るものは十分に変わると思います。
旅先で見せたいものは教科から選ぶと決めやすい
子どもの「好き」と教科を重ねる
旅先で何を見せるか迷ったら、学校の教科から考えると決めやすいです。
理科なら自然や生き物、社会なら工場や国の仕組み、歴史ならお城や古い町並み。子どもがいま好きなものと重なるとさらに入りやすくなります。
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教科ごとの行き先は「学び旅」のカテゴリにまとめています。
年齢で見せ方を変える
同じ場所でも子どもの年齢で受け取るものが違います。
| 年齢 | 向いている見せ方 |
|---|---|
| 未就学 | 触る・食べる・動物を見る。体で覚えるもの |
| 小学1〜2年 | 生き物や乗り物など、好きなものを深く |
| 小学3〜4年 | 住んでいる地域と比べる。社会科の工場や農業 |
| 小学5〜6年 | 歴史、国の仕組み、産業のつながり |
小学3年生から社会科が始まるので、そのころから工場見学や「町のなりたち」の話がぐっと通じやすくなります。
学年ごとのテーマは「小学生の自由研究になる旅行を学年別に」に書いています。
1回の旅で欲張らない
見せたいものは1回の旅で1つか2つに絞るのがいいと思います。
博物館を3つ回ると子どもはだいたい疲れてしまいます。覚えているのは最後に食べたアイスだったりします。
1つの場所をゆっくり見て残りの時間はホテルや公園で過ごすくらいが、子どもには合っているようです。
旅の前にしておきたい会話
行き先を地図で一緒に見る
旅の前にいちばん手軽にできるのは地図を一緒に見ることです。
家からどのくらい離れているか、海の近くか山の中か。飛行機で行くなら、どの国の上を飛ぶのか。
それだけで子どもにとって旅先が「知らない場所」から「行くのが楽しみな場所」に変わります。
- 地図で場所を見る家からの距離、海か山か、どうやって行くか
- 「見てきたいもの」を1つ決めてもらう親が決めるより、子どもが選んだほうが覚えている
- 本や動画で少しだけ予習する図鑑、絵本、行き先の短い動画くらいで十分
- 質問を1つ持っていく「クジラは何を食べている?」のように、現地で確かめること
予習はしすぎない
予習は大事ですが、全部を先に知ってしまうと、現地での驚きが小さくなります。
「答え」ではなく「質問」を持っていくくらいが、ちょうどいいと思います。
たとえばクジラを見に行くなら、「どのくらい大きいのか」「どうして冬に来るのか」を1つだけ聞いておく。現地のガイドさんの話を聞くときに、子どもの耳が自然と向きます。
旅先では子どもに任せる場面を作る
小さな「自分でやった」を増やす
旅先でいちばん学びになるのは子どもが自分で何かをやった場面だと思っています。
| 場面 | 任せられること |
|---|---|
| 移動 | 切符を買う、駅で乗り場を探す |
| 食事 | 自分の分を注文する、お会計を払う |
| 街歩き | 地図を持って、次の角を曲がるか決める |
| 記録 | 写真を撮る、1日の終わりに一言書く |
海外なら注文やあいさつを現地の言葉でやってみるだけでも、子どもにとっては大きな経験になります。
ちょっと時間はかかりますが、旅先では急ぐ用事も少ないので、待ってあげられます。
写真は子どもにも撮らせる
子どもにカメラやスマホを渡すと親とはまったく違うものを撮ってきます。
道ばたの花、看板、マンホール。親が見ていなかったものに、子どもが何に興味を持ったかがよく出ます。
旅のあとに話をするとき、子どもが撮った写真がいちばんの手がかりになります。
予定に余白を残す
旅の学びは予定にないところで起きることも多いです。
市場で見たことのない果物を見つけた、公園で現地の子どもと遊んだ。そういう時間は予定を詰めすぎると生まれません。
1日に大きな予定は1つにして、残りは子どものペースに合わせるくらいがいいと思います。
違いを「変だね」で終わらせない
国内でも海外でも旅先では自分の家と違うことにたくさん出会います。
お店が日曜日に閉まっている、夕ごはんの時間が遅い、道で知らない人があいさつしてくる。子どもは「変なの」と言うかもしれません。
そんなときは「どうしてだと思う?」と一度だけ聞いてみます。答えが合っていなくてもかまいません。
違いを面白がれるようになるとそれだけで旅に出た意味があると思っています。
旅の後にしたい会話
帰り道に「いちばん」を聞く
旅の記憶は帰ってから少しずつ薄れていきます。
なので、帰りの電車や飛行機で「何がいちばん面白かった?」「いちばん驚いたことは?」と聞いておくのがおすすめです。
プールと答えても大丈夫です。そこから「プールの外で見たものは?」と聞いていくと、ちゃんと出てきます。
- 帰り道いちばん面白かったこと、驚いたことを聞く
- 帰って数日以内子どもが撮った写真を一緒に見返す
- 1〜2週間後1枚の紙や自由研究にまとめる(したければ)
- 次の旅の前前の旅で気になったことから、行き先を考える
まとめるなら1枚でいい
夏休みなら旅を自由研究にまとめるのも1つの方法です。
ただ、毎回まとめさせると、旅が宿題のようになってしまいます。子どもがやりたがったときだけで十分だと思います。
まとめ方は「旅行を自由研究にするまとめ方」に、教科別の行き先は「夏休みの自由研究になる旅行」に書いています。
次の旅につなげる
旅の学びがいちばん深くなるのは、前の旅の「なんで?」が次の旅につながったときだと思います。
お城を見て歴史に興味を持ったら、次は別の時代のお城へ。クジラを見て海の生き物が好きになったら、次は磯遊びへ。
子どもの興味をたどっていくと行き先も自然と決まっていきます。
旅を勉強にしすぎない
学びより先に「楽しかった」
旅を学びにしたいと思うほど、親がつい説明しすぎてしまいます。
でも、子どもにとって旅はまず楽しいものであってほしいと思っています。楽しかった記憶があるから、また行きたくなり、また何かを持ち帰ってきます。
我が家のやり方
娘は「学校にはしっかり行きたい」と言っているので、旅は学校の長期休みに1回ずつにしています。海外で暮らしているので、行き先は暮らしている地域とその周辺が中心です。遠くへ行く回数が少ないぶん、近くの街でも何か1つ持ち帰れたらいいな、くらいの気持ちで出かけています。
学校を休ませて旅に出るかどうかは、家庭ごとの考え方だと思っています。そのあたりは「学校を休ませて旅行する?」に、休みの時期ごとの組み立て方は「学校の長期休みを旅に使う」にまとめました。
よくある質問
何歳くらいから旅が学びになりますか
未就学の子どもでも、触る・食べる・動物を見るといった体で覚える経験は残ります。社会科が始まる小学3年生ごろからは、工場見学や町のなりたちの話も通じやすくなります。
子どもが旅のことを覚えていません
小さいころの旅は、細かいことは忘れてしまうことが多いです。帰り道に「いちばん」を聞いたり、写真を一緒に見返したりすると、記憶に残りやすくなると思います。
博物館に連れて行っても、すぐ飽きてしまいます
1回の旅で見せるものを1つか2つに絞り、子どもに「見てきたいもの」を1つ選んでもらうのがおすすめです。全部を見ようとせず、子どもが興味を持ったところだけゆっくり見るくらいで十分です。
旅のたびに自由研究や日記を書かせたほうがいいですか
毎回まとめさせると、旅が宿題のようになってしまいます。子どもがやりたがったときや、夏休みの自由研究にしたいときだけで十分だと思います。
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