にっぽん丸の引退と後継船:三井オーシャンサクラ・フジに受け継がれたもの
最終更新日:2026年10月21日
筆者の乗船実績:エメラルド・プリンセス(アラスカ)/ディズニー・ワンダー(シドニー発着)/ディズニー・ファンタジー(西カリブ海)/ノールダム(エーゲ海&東地中海、大西洋横断)
商船三井クルーズのにっぽん丸は、2026年5月10日に横浜港に帰ってきた航海を最後に引退しました。1990年の就航から約35年でした。
「にっぽん丸の後継の船は?」「新しい船は造らないの?」と気になっている方も多いと思います。この記事では、公式の発表で確かめられることと、確かめられていないことを分けてまとめます。
内容は2026年10月21日時点のものです。
先に結論
- にっぽん丸は2026年5月10日、横浜港大さん橋への帰港をもって引退した。引退の発表は2025年6月5日
- 公式には「後継船」という言い方はしていない。ただし、2026年9月に就航した三井オーシャンサクラが、にっぽん丸の味や「飛んでクルーズ」を受け継ぐと説明されている
- 商船三井クルーズはいま、三井オーシャンフジとサクラの2隻で運航している。どちらも、元はシーボーンの船
- にっぽん丸のあとの行き先(売却など)は、公式の発表が見当たらない。新しく船を造る計画も、公式には確認できていない
- サクラは、飲み物や一部の寄港地観光が代金に含まれるなど、にっぽん丸とは料金の仕組みが違う
にっぽん丸の引退:確かめられた事実
引退の発表と最後の航海
- 2025年6月5日商船三井クルーズが、にっぽん丸が2026年5月10日に横浜へ帰着するクルーズをもって引退すると発表。
- 2025年8月4日最後の12本のクルーズ「グランド・フィナーレ」(2026年4〜5月)を発表。
- 2026年5月10日横浜港大さん橋国際客船ターミナルに帰港し、運航を終える。
- 2026年5月11日引退セレモニーの実施を発表。見届けた人は7,327人と公式に発表された。
35年間の記録(公式の発表より)
- 2,000本以上のクルーズを実施
- 400以上の港に寄港(国内外)
- 60万人以上が乗船(延べ)
- 約133周航行距離を地球の周回にすると
どんな船だったか
- 三代目のにっぽん丸。1990年就航
- 総トン数22,472トン、乗客定員422名(最大)、190室
- 寿司バー「潮彩」、メインダイニング「瑞穂」、大浴場
- ワンナイトクルーズから日本一周、過去には世界一周まで
- 飛行機と組み合わせて北海道や沖縄の離島を回る「飛んでクルーズ」
- 小学生以下向けの「セーラーキッズプログラム」(一部の便)
にっぽん丸という名前の船は、これが三代目です。初代(もとはあるぜんちな丸)は1976年に引退し、二代目を経て、1990年に三代目が就航したと会社の沿革に書かれています。
運航会社の歩み
にっぽん丸を運航していたのは、商船三井グループの客船の会社です。会社の名前とブランドは、ここ数年で次のように変わりました。
- 1989年ふじ丸が就航。翌1990年に三代目にっぽん丸が就航
- 2023年商船三井クルーズに社名を変更。ブランド名は「三井オーシャンクルーズ」に8月・10月
- 2024年三井オーシャンフジが運航開始。2隻体制に12月
- 2026年にっぽん丸が引退5月10日
- 2026年三井オーシャンサクラが就航。フジとの2隻体制に9月
後継船はどの船か
公式には「後継船」とは言っていない
商船三井クルーズの発表で、特定の船を「にっぽん丸の後継船」と呼んだものは見つかりませんでした。
引退の発表(2025年6月)では、引退後も三井オーシャンフジと「2026年に就航を予定している新しい船」で、にっぽん丸で培った伝統や経験を受け継ぐ、と書かれていました。
受け継ぐと説明されているのは三井オーシャンサクラ
その「新しい船」が、2026年9月19日に横浜港からデビューした三井オーシャンサクラです。
- 名前の発表(2025年8月)で、にっぽん丸で好評の「飛んでクルーズ」を引き継ぐと説明
- にっぽん丸で35年以上築いてきた味を受け継ぐと説明。総料理長は、にっぽん丸などで総料理長を務めた人
- 船長は、にっぽん丸の船長を務めた人
- 寿司バーの名前「潮彩」も、にっぽん丸から受け継いだ
- 日本籍の船で、東京港を船籍港とする
公式の言葉は「後継船」ではありませんが、にっぽん丸の役割をいちばん近い形で受け継いでいるのはサクラだと考えています。
三井オーシャンフジとの関係
三井オーシャンフジは、2024年12月から運航している船です。にっぽん丸の引退前から、にっぽん丸と2隻体制で運航していました。
にっぽん丸の引退後、2026年5月から9月まではフジ1隻の時期があり、サクラの就航で再び2隻体制になりました。
サクラとフジは、元はシーボーンの船
フジ:シーボーン社から購入
商船三井クルーズの沿革には、2023年にシーボーンクルーズ社(米国)から購入した船を「MITSUI OCEAN FUJI」と名付けた、と書かれています。
元の船名はシーボーン・オデッセイと複数の報道が伝えています(第三者の情報。公式の沿革では購入元の会社名だけが書かれています)。
サクラ:シーボーン・ソジャーンを購入
シーボーンは2025年3月4日、シーボーン・ソジャーンを三井オーシャンクルーズに売却すると発表しました。2026年5月15日に終わるワールドクルーズまではシーボーンが運航し、そのあと引き渡す内容でした。
この船がサクラになったことは、報道と親会社カーニバルの船隊表で確かめました。商船三井クルーズ側の発表では、サクラの旧船名は確認できていません。
総トン数の数字が発表で分かれている
サクラの総トン数は、名前の発表のときは約3万2千トン、就航の発表では約3万4千トン、船のページでは34,138トンと、公式の発表のなかで数字が分かれています。どれが最新かは確かめられていません。
シーボーンという会社についてはシーボーンの記事で書いています。
まだ確かめられていないこと
- 引退2026年5月10日、横浜港大さん橋に帰港して引退
- 受け継ぐ船サクラが味・飛んでクルーズ・「潮彩」の名前を受け継ぐと説明
- にっぽん丸のその後売却先などは未確認(公式の発表なし)
- 新造船の計画2022年の報道のあと、公式には未確認
- サクラの旧船名報道とカーニバルの船隊表ではシーボーン・ソジャーン。商船三井クルーズ側の発表では未確認
にっぽん丸のその後
引退したにっぽん丸を売却したのか、どこへ行くのかについては、公式の発表が見当たりませんでした(2026年10月21日時点)。報道でも、売却先を確かめられる情報は見つかっていません。
新しく造る船(新造船)の計画
2022年に、商船三井が3万5千トン級の新しい船を2隻造る計画があると報じられました(第三者の情報)。
ただ、その後の造船所や時期、計画が続いているかどうかを、公式の発表では確かめられていません。商船三井クルーズは、新しく造る船ではなく、シーボーンから購入した2隻で体制をつくっています。
にっぽん丸とサクラの違い
にっぽん丸に乗っていた方がサクラを検討するときに、知っておきたい違いをまとめます。
| 項目 | にっぽん丸 | サクラ |
|---|---|---|
| 就航 | 1990年 | 2026年 |
| 乗客定員 | 422名(最大) | 458名 |
| 客室数 | 190室 | 229室 |
| 飲み物 | アルコールは有料 | アルコールも含む |
| Wi‑Fi | 有料 | 1人1端末分 |
| 寄港地観光 | 有料 | 一部の港で半日分 |
料金の仕組みが違う
いちばん大きな違いは、旅行代金に含まれるものです。サクラは、アルコールを含む200種類以上の飲み物が旅行代金に含まれます(一部のメニューは有料)。
一部の寄港地では、追加代金なしの半日の寄港地観光ツアーがあります。離島など、実施しない寄港地もあります。にっぽん丸では、アルコールもツアーも有料でした。
客室
サクラは、全室が海の見えるスイート仕様です。多くの客室にベランダが付いています。
子ども連れ
にっぽん丸には、一部の便で小学生以下向けの「セーラーキッズプログラム」がありました。三井オーシャンクルーズの公式FAQ(フジ)では、子ども向けのイベントはなく、年齢を問わないイベントがあると案内しています。
子ども連れの方は、乗る前に便ごとの内容を確かめてください。子連れの船選びは子連れ・三世代の記事で考え方をまとめています。
変わらないこと
- チップは不要
- 船内は日本語で過ごせる(公式FAQ)
- 夕方以降に、カジュアル/セミフォーマル/フォーマルのドレスコードの日がある(和服も可)
- 1泊〜数泊の短い便が多く、「飛んでクルーズ」もある
「にっぽん丸の料金」を調べていた方へ
にっぽん丸のクルーズは、もう予約できません。近い船を探すなら、サクラの料金の仕組みを見てください。
サクラの料金の仕組み(2026年10月に公式サイトで確認)
- 料金は客室タイプごと。オーシャンビュースイート、ベランダスイート、ペントハウススイートなど
- 2歳以上・小学生以下の子どもは、大人の75%。中学生以上は大人と同じ
- 6か月以上2歳未満の乳幼児は、大人1人につき1人まで無料(食事・ベッドなし)
- 1人で客室を使う場合は割増。客室タイプによって150%・180%・200%
総額で比べるときは、飲み物や寄港地観光が含まれる分を差し引いて考えてください。考え方は費用の記事にまとめています。
にっぽん丸のような短い便を探すなら
サクラは、1泊2日〜4泊5日の便を多く出しています。横浜・東京・名古屋・神戸・博多・広島などから出発し、那覇や小樽発着の「飛んでクルーズ」もあります。
短い便の選び方は国内の短いクルーズの記事に、日本の船どうしの比べ方は日本発着クルーズの記事に書いています。
サクラの便の数
サクラは、2026年9〜12月に29本、2027年1〜9月に61本の便が発表されています。2027年の61本のうち36本は1〜3泊の短い便だと公式に発表されました。
にっぽん丸のように、週末や連休に気軽に乗れる便を多く出す船だと言えます。
にっぽん丸の会員だった方へ
にっぽん丸の時代からの会員組織「ドルフィンズクラブ」は、2026年7月3日に「MITSUI OCEAN CLUB」に刷新されました。
これまでの乗船の記録や特典がどう引き継がれるかは、公式サイトの会員ページで確かめてください。筆者は、引き継ぎの細かい条件までは確かめていません。
サクラが向かない人
- にっぽん丸と同じ船の雰囲気を求める人:船そのものは別の船で、もとはシーボーンの船として造られました。大きさや船内のつくりも違います
- 子ども向けのプログラムを重視する人:子ども向けのイベントはないと案内されています
- お酒を飲まず、表示価格の安さを重視する人:飲み物込みの代金なので、飲まない人には使わない分が含まれます
ほかの日本の船との違い
にっぽん丸の後を受け継いだ三井オーシャンの船と、同じ日本の船の飛鳥では、代金に含まれるものが違います。次の船を選ぶときは、この違いから見てみてください。
| 船 | 大きさ | 含まれるもの |
|---|---|---|
| にっぽん丸(引退) | 1隻・422人 | チップ不要。お酒・Wi‑Fi・観光は有料 |
| 三井オーシャン | 2隻・各458人 | チップ不要。お酒と半日観光(多くの港)も込み |
| 飛鳥 | 2隻・680〜872人 | チップ不要。お酒・観光は有料 |
飛鳥との違い
飛鳥は定員680〜872人の2隻で、にっぽん丸より大きな船です。チップが不要で、お酒や寄港地観光が有料なのは、にっぽん丸と同じです。
にっぽん丸と近い料金の仕組みで選ぶなら飛鳥、飲み物や観光まで代金に入れたいなら三井オーシャンです。飛鳥の料金の見方は飛鳥クルーズの料金の記事にまとめています。
まとめ
- にっぽん丸は2026年5月10日に引退。約35年、2,000本以上のクルーズだった
- 公式に「後継船」という言い方はないが、サクラがにっぽん丸の味・飛んでクルーズ・寿司バーの名前などを受け継いでいる
- サクラとフジは元シーボーンの船。サクラの旧船名は、商船三井クルーズ側の発表では確認できていない
- にっぽん丸のその後と、新しく造る船の計画は、公式には確かめられていない
- サクラは飲み物込みなど料金の仕組みが違う。総額で比べる
にっぽん丸の流れをくむ船を探すなら、受け継がれたものと変わったものの両方を知っておくことが大切です。サクラを考えるときは、飲み物込みの料金の仕組みを踏まえて、ほかの日本の船と総額で比べてみてください。日本の船の違いは日本発着クルーズの記事にまとめています。