クルーズのチップの仕組み:自動加算・運賃込み・不要を船会社ごとに整理
最終更新日:2026年10月21日
筆者の乗船実績:エメラルド・プリンセス(アラスカ)/ディズニー・ワンダー(シドニー発着)/ディズニー・ファンタジー(西カリブ海)/ノールダム(エーゲ海&東地中海、大西洋横断)
海外のクルーズで、日本の旅行者がとまどいやすいのがチップです。いつ、誰に、いくら払えばいいのかがわかりにくいからです。
実は、いまの大きな船会社の多くは、チップを1人1日の定額で、船内の会計に自動で足す仕組みにしています。毎回財布を出して渡す必要は、ほとんどありません。
ただし、仕組みは会社ごとに違います。自動で足す会社、運賃に含めている会社、そもそも不要な会社があり、販売する国によって変わる会社もあります。
この記事では、チップの仕組みを型に分けて整理し、飲み物のサービス料や、現金で渡す場面までまとめます。
先に結論
- チップの仕組みは大きく3つ。自動で加算/運賃に込み/不要・任意
- カジュアル船・プレミアム船の多くは自動で加算。1人1日の定額 × 泊数 × 人数でかかる
- 自動加算の額は、多くの会社で船内で調整できる。ただし、調整できない会社や、予約時に運賃へ組み込む会社もある
- チップとは別に、飲み物やスパの支払いに15〜20%のサービス料が上乗せされる会社が多い
- ラグジュアリー船の多くと日本の船は、船内のチップが込みか不要。それでも寄港地のガイドなどは別のことがある
費用全体のなかでチップがどのくらいになるかは、クルーズ旅行の費用は「総額」で比べるで計算の例を出しています。この記事は、その仕組みの部分を詳しく書いたものです。
クルーズのチップは3つの型に分かれる
- 1. 自動で加算1人1日の定額を、船内の会計に毎日足す
カジュアル船・プレミアム船の多く - 2. 運賃に込み船の上で別に請求されない
ラグジュアリー船の多く、オセアニア、アザマラ - 3. 不要・任意日本の船
シーボーン、フォーシーズンズ、ポナン
1. 自動で加算する会社
船内のスタッフ(客室係、レストランのスタッフなど)へのチップを、1人1日の定額で、船内の会計(船内口座)に毎日足していく方式です。
呼び名は会社によって違います。「クルー・アプリシエーション」「サービスチャージ」「ホテルサービス料」などと呼ばれますが、中身はほぼ同じです。
- プリンセス、ホーランド・アメリカ、セレブリティ、キュナード
- ロイヤル・カリビアン、カーニバル、ノルウェージャン、ディズニー、コスタ、MSC
- ヴァージン(2025年10月7日以降の予約から)
- バイキング(米国向けの販売の場合)
2. 運賃に含めている会社
船内のチップを運賃に含めていて、船の上で別に請求されない方式です。
- ラグジュアリー船:シルバーシー、リージェント、クリスタル、リッツ・カールトン、エクスプローラ、シーニック
- プレミアム船:オセアニア(2025年1月1日以降の出発の便から)、アザマラ
- バイキング(英国・豪州向けの販売の場合)
3. 不要、または任意の会社
- 日本の船:飛鳥、三井オーシャン、にっぽん丸は、チップ不要
- シーボーン:公式に「必要でも、期待されてもいない」と案内
- フォーシーズンズ:チップは期待しないと公式FAQに明記。有料の飲食やスパの支払いで、加える選択肢はある
- ポナン:運賃に含まれず、任意。最終日に封筒に入れて渡す方式
仕組みはすべて2026年10月に各社の公式サイトなどで確認したものです。チップは改定が多い項目なので、予約の前に必ず最新の条件を確かめてください。
自動加算の金額(主な船会社)
自動で加算する会社の、1人1日の金額です。客室のランクで金額が変わる会社が多くあります。
| 船会社 | 1人1日 | メモ |
|---|---|---|
| プリンセス | 18ドル | ミニスイート19ドル、スイート20ドル |
| ホーランド・アメリカ | 18ドル | スイート20ドル |
| ロイヤル・カリビアン | 18.50ドル | スイート21ドル |
| セレブリティ | 19.50ドル | 上位の客室は20.50〜24.50ドル |
| キュナード | 18ドル | Grillsの客室は19ドル |
| ノルウェージャン | 20ドル | スイートとThe Havenは25ドル |
| カーニバル | 17ドル | スイート19ドル(第三者の情報。公式で未確認) |
| ディズニー | 16ドル | 子どもも対象。コンシェルジュは27.25ドル |
| ヴァージン | 20ドル | 事前払いの場合。船内払いは22ドル |
| バイキング | 20ドル | 米国向けの推奨額。英国・豪州向けは運賃に込み |
| コスタ | 11ユーロ | 15歳以上。4〜14歳は5.50ユーロ |
2026年10月18日に各社の公式サイトなどで確認した金額です(プリンセスは、2026年3月に1ドル上がった後の額。改定の時期は第三者の報道による)。
MSCは航路ごとに金額が違う
MSCのホテルサービス料は、航路と客室(一般の客室か、Yacht Clubか)で金額が分かれます。大人と子どもでも違います。
- 地中海・北欧など:大人12ユーロ、子ども(2〜17歳)10ユーロ(2026年7月2日以降の新規予約)
- カリブ海・アラスカなど:17ドル(2026年5月11日以降の新規予約)
- Yacht Clubはそれぞれ高い額。2歳未満は無料
- 日本発着の現在の額は未確認
いずれも公式の国際サイトの情報です。予約時期によって旧額が適用されることがあります。
計算は「1人1日 × 泊数 × 人数」
たとえば、コスタで大人2人と10歳の子ども1人が7泊すると、次のとおりです。
- 大人 11ユーロ×7泊×2人154ユーロ
- 子ども(10歳) 5.50ユーロ×7泊38.50ユーロ
合計 192.50ユーロ。表示価格には入っていない分です。
家族旅行や長い航海では、思ったより大きな額になります。表示価格を比べるときは、この分を足してから比べてください。
子どもにもかかるか
子どもの扱いは会社によってかなり違います。家族で乗るなら、ここは必ず確かめたいところです。
| 船会社 | 子どもの扱い |
|---|---|
| ディズニー | 大人と同じ額 |
| ノルウェージャン | 3歳以上が対象 |
| コスタ | 15歳以上は満額、4〜14歳は半額ほど、4歳未満は無料 |
| MSC | 子ども料金あり。2歳未満は無料 |
筆者が2026年8月にエメラルド・プリンセスに乗ったときは、大人2人が Princess Premier(チップ込みのパッケージ)でした。このとき、9歳の子どものチップも船上では請求されませんでした。
ただ、これは筆者の便での結果です。パッケージや予約の条件によって扱いが違う可能性があるので、一般的なルールとしては受け取らないでください。
自動加算は調整できるか
自動で足されるチップは、多くの会社で船の上で金額を変えたり、取り消したりできます。
- プリンセス、ホーランド・アメリカ、コスタ、ノルウェージャン、ディズニー:船内で調整できる
- ロイヤル・カリビアン:ゲストリレーションズで、下船日の朝までに変更・削除できる
- セレブリティ:調整・取り消しができる(米国向けの販売)
- キュナード:パーサーズ・オフィスで調整できる
- ヴァージン:船内払いの分は、下船前に変更・取り消しできる。事前払いは返金不可
- カーニバル:船内で調整できるが、下船後は確定(第三者の情報)
- MSC:国際サイト・英国サイトでは、予約時に運賃に組み込まれ、取り消しできないと案内
調整するかどうか
調整できるとはいえ、この定額は、実際には乗組員の収入の一部として組み込まれていると考えられています。
サービスにはっきりした問題がなかったのなら、減らさずにそのままにしておくのがよいと考えています。逆に、特に良くしてくれたスタッフがいれば、上乗せしたり、別に現金を渡したりするのは自由です。
事前払いという選択肢
多くの会社では、チップを予約時に前払いできます。船の上の請求を減らしておきたい人や、値上げの前に金額を固めたい人には便利です。
改定の前に事前払いした分は旧額のまま、とする会社もあります(カーニバルの例、第三者の情報)。条件は会社によって違うので、予約のときに確かめてください。
販売する国や航路でも変わる
同じ会社でも、どの国で予約したか、どこから出る航路かで、チップの扱いが変わることがあります。
- プリンセス:豪州・ニュージーランドの居住者は対象外
- セレブリティ:豪州・ニュージーランド発の航海は、サービス料が運賃に含まれる
- バイキング:米国向けは別、英国・豪州向けは運賃に込み
- MSC:国際サイトでは運賃に組み込み、米国向けでは船内口座に加算と、説明が分かれる
- コスタ:南米の航路は金額と通貨が違う(米ドル)
日本の販売会社や日本の旅行会社を通して予約した場合の扱いは、会社ごとに確かめられておらず、未確認です。見積もりの段階で「チップは含まれるか、別か」を確かめるのが確実です。
旅行会社を通す利点は旅行会社を通して予約する理由で書いています。
チップとは別にかかる「サービス料」
チップの自動加算とは別に、飲み物やスパなどの支払いのたびに、サービス料が上乗せされる会社が多くあります。こちらは調整できないことが一般的です。
主な会社のサービス料
- ホーランド・アメリカ:飲み物・特別レストランなどに20%、スパに18%(調整不可)
- セレブリティ:飲み物・特別レストラン・スパなどに20%
- ロイヤル・カリビアン:飲み物・特別レストラン・スパ・ルームサービスなど(公式FAQ内で20%と18%の記載が混在)
- ディズニー:バー・大人向けレストラン・スパに18%
- キュナード:バー・ワイン・スパ・サロンに18%
- MSC:バーの飲み物に、欧州などの便は15%、北米の便は18%
- コスタ:ワイン・飲み物に15%
- シーボーン:チップは不要だが、スパ・サロンには18%
カーニバルとノルウェージャンも飲み物にサービス料がかかりますが、率は未確認です。
飲み物のパッケージにもかかることがある
飲み放題のパッケージを買うと、その代金にもサービス料が含まれる、または上乗せされるのが一般的です。表示されたパッケージの価格に、サービス料が入っているかを確かめてください。
- MSC:飲み物のパッケージはサービス料込み(米国公式FAQ)
- セレブリティ:All Included の飲み物パッケージは、飲み物のチップ込み
- プリンセス:筆者の Premier の予約確認書では、飲み物のパッケージはサービス料込みと書かれていた
現金で渡す場面
船内のチップが自動加算か込みなら、船の上で現金を出す場面は多くありません。それでも、次のような場面はあります。
寄港地観光のガイドと運転手
船会社の寄港地観光や、個人で手配したツアーでは、ガイドや運転手にチップを渡す習慣のある国が多くあります。
船内のチップが込みの会社でも、寄港地のガイドへのチップは別、というところがあります(シーボーン、リッツ・カールトンなど)。反対に、クリスタルやシーニックのように、寄港地のガイドへのチップまで含める会社もあります。
寄港地観光の選び方は寄港地観光(エクスカージョン)で満足度が決まるにまとめています。
港のポーター、特別なお礼
- 乗船港で荷物を預けるポーターに、少額を渡す習慣のある港がある
- 特にお世話になった客室係やバトラーに、お礼として渡す(任意)
- ポナンのように、最終日に封筒で渡す方式の会社もある。目安は1人1日10〜12ユーロ(公式FAQ)
小額の現地通貨やドルを少し用意する
寄港地とポーター用に、小額の紙幣を少し持っていくと困りません。米国の港やカリブ海なら米ドル、欧州ならユーロが使いやすいです。
日本の船ではチップは不要なので、こうした準備はいりません。
チップで比べるときの手順
- 候補の会社の型を確かめる自動加算か、運賃に込みか、不要かを見ます。
- 自動加算なら総額に足す「1人1日の額 × 泊数 × 人数」を計算します。子どもの扱いも確かめます。
- パッケージに含まれるか見るプリンセスの Plus/Premier のように、チップ込みのパッケージがある会社もあります。
- 飲み物のサービス料を見込むお酒をよく飲むなら、15〜20%の上乗せも考えておきます。
- 寄港地の現金を用意するガイドやポーター用に、小額の紙幣を少し。
チップの仕組みが気になる人へ
船の上で金額が積み上がっていくのが落ち着かない、という人もいます。その場合は、チップ込みの会社や、日本の船を選ぶ方法があります。
ただし、チップ込みの会社は、そのぶん運賃に含まれています。込みだから安い、別だから高い、とは言えません。比べるのは、同じ航路・同じ日数・同じ客室での総額です。
ラグジュアリー船の含まれる範囲はラグジュアリークルーズ比較で詳しく比べています。
まとめ
- チップは「自動で加算」「運賃に込み」「不要・任意」の3つの型
- 自動加算は1人1日の定額。家族や長い航海では大きな額になる
- 多くの会社で船内で調整できるが、できない会社もある
- 飲み物やスパには、チップとは別に15〜20%のサービス料がかかる会社が多い
- 寄港地のガイドやポーター用に、小額の現金を少し用意しておく
チップは、払うかどうかより、運賃に込みか、自動で加算されるかを先に知っておくことが大切です。候補の船が決まったら、チップを足した総額で比べてください。比べ方はクルーズ旅行の費用は「総額」で比べるにまとめています。