世界一周クルーズの費用と選び方:2027年の各船を日数と含まれるもので比較
最終更新日:2026年10月21日
筆者の乗船実績:エメラルド・プリンセス(アラスカ)/ディズニー・ワンダー(シドニー発着)/ディズニー・ファンタジー(西カリブ海)/ノールダム(エーゲ海&東地中海、大西洋横断)
世界一周クルーズは、1つの船に3〜6か月ほど乗り続けて、地球をぐるりと回る旅です。
費用を調べはじめると、船会社ごとに日数も発着港も、運賃に含まれるものも違っていて、比べにくいと感じるはずです。同じ「世界一周」でも、100日台の船と240日を超える船があります。
この記事では、2027年前後に世界一周を出す主な船を一覧にし、総額の考え方と「何が運賃に含まれるか」で比べる方法をまとめます。日本から乗れる世界一周と、日本に寄る海外の船の区間乗船も取り上げます。
金額の目安(「○日で○万円」など)は載せていません。世界一周は日数・客室・為替で金額が大きく動くので、目安の数字がかえって判断を誤らせると考えているからです。
先に結論:世界一周は「1日あたりの追加費用×日数」で差が開く
- 世界一周の日数は船ごとにかなり違う。2027年の便では、100日台前半から240日を超えるものまである
- 運賃に含まれるものの差が、日数のぶんだけ何倍にもなる。チップが自動で足される船なら、2人で数千ドルになる
- 日本発着でない船は、行きと帰りで別の都市の航空券が要る
- 全行程でなくても、2〜4週間ほどの区間だけ乗れる船が多い。最初は区間乗船で試すのも1つの方法
- 日本発着の世界一周は、2026年10月時点ではピースボートの「パシフィック・ワールド」が中心。飛鳥Ⅱは2025年の航海が最後の世界一周とされている
世界一周クルーズの総額は、どう積み上がるか
クルーズの総額は「運賃」「船の上で足されるもの」「船の外の費用」の3つに分けて考えます。考え方はクルーズ旅行の費用は「総額」で比べると同じです。
世界一周で違うのは、それぞれの層が日数のぶんだけ大きくなることです。
- ① 運賃客室、メインダイニングとビュッフェの食事、ショー、プール
- ② 船の上で足されるものチップ、飲み物、Wi‑Fi、特別レストラン、寄港地観光
- ③ 船の外の費用航空券、前泊のホテル、海外旅行保険、ビザ・電子渡航認証
- 世界一周では、どの層も日数のぶん大きくなる②は船によって込み・別料金が分かれる
運賃:日数と客室で大きく変わる
運賃には、客室と、メインダイニング・ビュッフェでの食事が含まれます。シアターのショーやプールにも追加料金はかかりません。
世界一周は早くから予約が始まり、発表から出航まで1年半〜2年ほど空くことがよくあります。予約の時期や早期割引の条件で、同じ客室でも金額が変わります。
船の上で足されるもの:1日あたりの差が日数ぶん効く
チップ、飲み物、Wi‑Fi、特別レストラン、寄港地観光が、船によって運賃に含まれたり、別料金になったりします。
7日間のクルーズなら小さな差でも、120日を超えると大きな金額になります。たとえばチップが1人1日18ドルで自動加算される船に、2人で129泊すると次のとおりです。
- 18ドル1人1日のチップ
- ×129泊世界一周の泊数
- ×2人夫婦2人で乗る
- 4,644ドル。チップだけの合計
1人1日18ドルは、プリンセスとホーランド・アメリカの標準的な客室の額です(2026年10月18日に公式サイトで確認)。チップが運賃に含まれる船と比べるときは、この金額を足してからそろえます。
船の外の費用:航空券・保険・ビザ
- 航空券:発着港が日本でなければ、乗る港までと、降りる港からの航空券が要る。発着港が違う片道の船も多い
- 前泊のホテル:長い航海ほど、出航日に間に合わないと取り返しがつかない。前日には着いておく
- 海外旅行保険:クレジットカードに付いている保険は、旅行の日数に上限があるものが多い(90日までなど。カードにより異なる)。世界一周の日数をカバーできるか確かめる
- ビザ・電子渡航認証:寄港する国によっては、事前の手続きが要る。船会社や販売会社が案内するが、取るのは自分
2027年前後に世界一周を出す主な船
2026年10月21日までに、各社の公式プレスや報道で確認できた便です。日数・日付は発表時のもので、変わることがあります。
| ブランド | 船と日数 | 発着 |
|---|---|---|
| プリンセス | Coral Princess・129日 | フォートローダーデール→ロサンゼルス |
| ホーランド・アメリカ | Volendam・129日 | フォートローダーデール往復 |
| キュナード | Queen Victoria・109泊 | サウサンプトン往復 |
| バイキング | Viking Sky・142日 | フォートローダーデール→ロンドン |
| オセアニア | Oceania Vista・244日 | マイアミ発 |
| アザマラ | Azamara Quest・188泊 | サンフランシスコ→デンマーク |
| リージェント | Seven Seas Splendor・140泊 | マイアミ→ニューヨーク |
| シルバーシー | Silver Dawn・149日 | ロサンゼルス→コペンハーゲン |
| シーボーン | Seabourn Quest・145日 | マイアミ往復 |
| クリスタル | Crystal Serenity・140泊 | サンディエゴ→バンクーバー |
| MSC | MSC Magnifica・121泊 | イタリア発着 |
| コスタ | Costa Deliziosa・139日 | サヴォーナ発着 |
表の外の補足は次のとおりです。出典が船会社でないものは、そのように書いています。
プレミアム船・カジュアル船
- プリンセス:2027年1月6日発。ロサンゼルス往復114日、ロサンゼルス→バンクーバー110日の乗り方もある(公式プレス、2025年4月)
- ホーランド・アメリカ:2027年1月5日発。南米西岸、イースター島、南太平洋、オーストラリア、東南アジア、アフリカ西岸を回る(公式プレス、2025年4月)
- キュナード:2027年1月発。泊数は報道では109泊、公式の別ページでは111泊と食い違う。キュナードは区間単位でも乗れる
- バイキング:2026年12月22日発。同じ船でストックホルムまで行く170日の便、ロサンゼルス発の153日・125日の便もある(公式プレス、2025年1月)
- MSC:2027年1月発の121泊。出発日(1月4日か5日)と発着港(チヴィタヴェッキアかジェノバ)は、販売サイトの間で食い違うため未確認。2028年はMagnificaで115泊(公式)
- コスタ:2026年11月25日サヴォーナ発、2027年4月12日着(イタリアの報道。第三者の情報)。サンフランシスコから乗る100日ほどの短い版もある
プレミアムの上位・ラグジュアリー船
- オセアニア:2027年1月6日マイアミ発。当初は180日と発表され、のちに244日・17区間に広がった(報道。第三者の情報)。マイアミ→ドーハの127日の便もある
- アザマラ:2027年1月5日発、7月12日着(第三者の情報)。2029年は139〜195泊の3通りを発表(公式、2026年8月)
- リージェント:2027年1月11日発、6月1日着。71寄港地(NCLHの公式プレス、2024年3月)
- シルバーシー:2027年1月8日発、6月7日着。80寄港地(公式)
- シーボーン:2027年1月5日発。ロングビーチで降りる126日の乗り方もある(公式プレス、2025年4月)。2029年は138日(公式、2026年9月)
- クリスタル:2027年1月8日発、5月28日着。5月に釜山・広島・神戸・東京などに寄る(公式)
「何が運賃に含まれるか」で比べる
世界一周の比較でいちばん効くのは、運賃に含まれるものの違いです。上の船について、標準の運賃でのチップと寄港地観光を並べました。
| ブランド | チップ | 寄港地観光 |
|---|---|---|
| プリンセス | 自動加算 | 別料金 |
| ホーランド・アメリカ | 自動加算 | 別料金 |
| キュナード | 自動加算 | 別料金 |
| バイキング | 米国向けは別 | 1寄港地1つ込み |
| MSC | 必ずかかる | 別料金 |
| コスタ | 自動加算 | 別料金 |
| オセアニア | 込み | 選択制の特典 |
| アザマラ | 込み | 別料金 |
| リージェント | 込み | 込み(一部除く) |
| シルバーシー | 込み | 運賃の種類による |
| シーボーン | 込み | 別料金 |
| クリスタル | 込み | 別料金 |
2026年10月18日に各社の公式サイトなどで確認した、標準の運賃の内容です。世界一周の便だけの特典は、便ごとに発表されるため、ここには入れていません。
チップ:自動加算の船は、日数ぶんが総額に乗る
プリンセス、ホーランド・アメリカ、キュナード、コスタは、チップが1人1日の定額で船内の会計に足されます。MSCは「ホテルサービス料」として、1泊ごとに必ずかかります。
バイキングは販売する国で扱いが違い、米国向けは別、英国・豪州向けは込みです。オセアニア、アザマラ、リージェント、シルバーシー、シーボーン、クリスタルは運賃に含まれます。
寄港地観光:世界一周では回数がとても多い
世界一周の寄港地は、70〜100か所を超える便もあります。寄港地観光が込みか別料金かで、総額がもっとも大きく変わると考えています。
- リージェント:回数無制限で込み。ヘリコプターなど一部の特別なツアーは追加料金(第三者の情報)
- バイキング:各寄港地で1つの観光が込み。ほかは有料
- シルバーシー:クラシック船は「All-Inclusive Plus」運賃なら観光のクレジットが付き、ほかの運賃では有料
- オセアニア:2025年9月17日以降の予約は、ワイン・ビールか寄港地観光のクレジットのどちらかを選ぶ
- シーボーン・クリスタル:ラグジュアリー船でも、外洋の船では寄港地観光は別料金
「ラグジュアリーなら全部込み」とは限りません。各社の違いはラグジュアリークルーズ比較で詳しく比べています。
世界一周の全区間に付く特典の例
世界一周やグランドボヤージュでは、全区間を通して乗る人に、標準の運賃にない特典が付くことがあります。データで確認できた例です。
- シルバーシー:ワールドクルーズとグランドボヤージュの全区間の客は、動画も見られるPremium Wi‑Fiが全員無料
- クリスタル:ワールドクルーズ全区間の客は、Umi Uma(Nobu)など予約回数に制限のあるレストランが無制限
- アザマラ:35泊以上のGrand Voyageは、航空券のクレジットが付く(1人最大2,000ドル)
特典は便ごと・時期ごとに変わります。比べるときは、予約の時点の条件で確かめてください。
日本から乗れる世界一周
日本発着の世界一周なら、行きと帰りの国際線が要りません。乗る前に体調を整えやすく、手続きも日本の会社と進められます。
ピースボート(パシフィック・ワールド)
2026年10月時点で、日本発着の世界一周を続けて出しているのは、ピースボートのパシフィック・ワールドです。NGOのピースボートが企画し、旅行の企画・実施は株式会社ジャパングレイスが行います。
2027〜2028年に出発する6コースが発表されています(販売会社ベストワンドットコムの発表、2026年7月。第三者の情報)。
- 2027年4月7日発:ヨーロッパ&アラスカ 107泊108日
- 2027年8月13日発:地中海・中南米・南太平洋 108泊109日
- 2027年12月7日発:南極航路 アフリカ&南米 107泊108日
- 2028年4月28日発:ヨーロッパ&アラスカ 107泊108日
- 2028年8月21日発:エーゲ海・カリブ海・南太平洋 109泊110日
- 2028年12月14日発:南極航路 南米&アフリカ 105泊106日
パシフィック・ワールドは1995年に建造された約7万7千トンの船で、もとはプリンセスのSun Princessでした(第三者の情報)。運賃に何が含まれるか(チップ・飲み物・寄港地観光)は、本記事の時点では未確認です。
飛鳥Ⅱ・飛鳥Ⅲ
飛鳥Ⅱは、2025年3月31日〜7月11日の世界一周を行いました。横浜市の記者発表では、これが飛鳥Ⅱの最後の世界一周とされています。
飛鳥Ⅱのその後の長い航海は、アラスカ・ハワイやオセアニアなどの「グランドクルーズ」です。飛鳥Ⅲの世界一周は、2026年10月21日時点で発表を確認できていません。
三井オーシャンクルーズ
三井オーシャンクルーズは、2023年の発表で世界一周の計画を示していました。2026年10月時点の長い航海は、南太平洋・オセアニアの47日間などで、今後の世界一周の日程は未確認です。
日本に寄る海外の船に、区間だけ乗る
海外の船の世界一周が日本に寄るとき、日本で乗る・降りる区間が売られることがあります。
- クリスタル:2027年5月にCrystal Serenityが神戸・東京などに寄る(公式)
- オセアニア:2027年3月29日発の香港→東京の区間がある(報道。第三者の情報)
- キュナード:2028年のQueen Elizabethの世界一周は横浜・長崎・鹿児島に寄り、横浜→シドニーの区間も販売されている(第三者の情報)
どの区間が売られるかは船会社と時期で変わります。世界一周に通しで乗るかどうか迷っている人は、世界一周クルーズで後悔しないための記事も読んでみてください。
世界一周を選ぶ手順
このサイトでは、クルーズを「行き先 → 時期 → 同行者 → 予算 → 船 → 客室 → 予約」の順に決めることを勧めています。世界一周では、次の順に絞っていくと迷いにくいはずです。
- どこを回りたいかを決める南太平洋とオーストラリア、アジア、アフリカ、南米など、船ごとに回る地域がかなり違います。行きたい寄港地が多い便から見ます。
- 何日なら家を空けられるかを決める100日台前半か、それ以上か。全行程が無理なら、区間乗船にします。
- 発着港を見る日本発着か、海外発着か。海外発着なら、行きと帰りの航空券も総額に入れます。
- 含まれるものをそろえる上の表で、チップと寄港地観光が込みかを見ます。自動加算の船は「1人1日の額×泊数×人数」を足します。
- 寄港地観光の予算を足す行きたい寄港地を先に選び、その分を足します。込みの船なら、ここが小さくなります。
- 客室を決める長い航海ほど、部屋で過ごす時間が長くなります。船のどこで時間を過ごしたいかで決めます。
- 総額で比べて予約するここまでそろえて、はじめて船どうしを比べられます。
客室は、長い航海ほど「過ごし方」で選ぶ
筆者は、可能ならテラス(バルコニー)付きの客室をおすすめしています。広さより、テラスで朝食をとったり、港に入る景色を見たりと、過ごし方が変わるからです。
世界一周には、何日も陸が見えない終日航海日が続く区間があります。そのあいだ部屋で過ごす時間は、短いクルーズよりずっと長くなります。
いっぽうで、寄港地観光にたくさん参加したい人は、内側の客室にして、浮いた予算を寄港地に回す考え方もあります。客室の選び方は客室の選び方の記事にまとめています。
船のランクを下げてスイートにする、という選び方
同じ予算で、ラグジュアリー船の標準の客室にするか、プレミアム船のスイートにするか、という選び方もあります。
どちらが合うかは、寄港地観光が込みであることを重く見るか、部屋の広さと設備を重く見るかで変わります。クルーズ船の選び方も参考にしてください。
寄港地観光の予算は削らない
世界一周は総額が大きいので、どこかを削りたくなります。それでも筆者は、クルーズの満足度は寄港地観光で決まると考えています。
イースター島、南太平洋の島、アフリカの国立公園など、世界一周でしか行きにくい寄港地が多いからです。港の周りを歩くだけで終わると、長い時間をかけて来た意味が小さくなります。寄港地観光の考え方は寄港地観光の記事で詳しく書いています。
まとめ
- 世界一周の日数は船ごとに違う。2027年は100日台前半から240日超まで
- 総額は「運賃」+「チップ・飲み物・Wi‑Fi・寄港地観光」+「航空券・保険・ビザ」
- チップが自動加算の船は「1人1日の額×泊数×人数」。世界一周では数千ドルになる
- 寄港地観光が込みか別料金かで、総額がもっとも大きく変わる
- 日本発着はピースボートが中心。海外の船の日本寄港区間に乗る方法もある
世界一周の総額は、運賃の差よりも、何が運賃に含まれるかで大きく変わります。気になる船が決まったら、チップ・飲み物・寄港地観光を「1日あたり×日数」で足して、同じ条件で比べてください。長い船旅が自分に合うかは世界一周で後悔しないための記事で確かめられます。