クルーズの客室の選び方:バルコニーか内側かは「過ごす場所」で決める

最終更新日:2026年10月21日
筆者の乗船実績:エメラルド・プリンセス(アラスカ)/ディズニー・ワンダー(シドニー発着)/ディズニー・ファンタジー(西カリブ海)/ノールダム(エーゲ海&東地中海、大西洋横断)

クルーズの客室は、大きく内側・海側・バルコニー・スイートに分かれます。同じ船でも、どの客室を選ぶかで料金はかなり変わります。

「せっかくならバルコニー」と考える方も、「寝るだけだから内側で十分」と考える方もいると思います。筆者の結論は、船のどこで時間を過ごしたいかで決めるです。

この記事では、客室のタイプごとの違いと、バルコニーが効く航路・内側で十分な旅の見分け方をまとめます。船のランクを1つ下げてスイートを取る、という選び方にも触れます。

先に結論:部屋で過ごす時間が長い航路ならバルコニー

  • バルコニーで変わるのは、広さより過ごし方。朝食、入港の景色、夕日を部屋から見られる
  • アラスカやフィヨルドのように、景色が動く航路では特に効く
  • 寄港地中心の航路で部屋にいる時間が短いなら、内側にして浮いた分を寄港地観光に回すほうが合理的
  • 第三の選択肢として、船のランクを1つ下げてスイートを取る方法もある
  • 迷ったら、寄港地観光の予算を先に確保してから、残りで客室を決める

客室は4つのタイプに分かれる

呼び方は船会社ごとに少しずつ違いますが、構造で分けると4つです。

客室は船のどこにあるか(前から見た断面) プール 機関室など 4 3 2 1 1 内側 中央・窓なし
2 海側 低めの階・開かない窓
3 バルコニー 上の階・外に出られる
4 スイート 上の階・広いテラス
配置は船によって違います。

内側(インサイド)

窓のない客室です。船の中央側にあり、同じ船の中ではいちばん料金が抑えられます。

外の明るさがわからないので、朝になっても部屋は暗いままです。そのぶん、暗くして眠りたい人には向いています。

海側(オーシャンビュー)

窓のある客室です。窓は開かないものがほとんどで、外には出られません。

救命ボートの陰になって、窓からの眺めがさえぎられる部屋もあります。予約のときに「眺めが一部さえぎられる」と書かれている客室は、そのぶん安くなっていることがあります。

バルコニー

部屋から外のテラス(バルコニー)に出られる客室です。椅子と小さなテーブルが置いてあることが多く、外の空気を吸いながら過ごせます。

スイート(ミニスイートを含む)

バルコニー付きで、部屋が広く、ソファや居間のスペースがある客室です。船会社によっては、専用のラウンジやレストラン、優先乗船などの特典が付きます。

「ミニスイート」は、バルコニーとスイートの中間のような客室です。筆者が2026年のアラスカで家族3人で泊まったのも、バルコニー付きのミニスイートでした。

バルコニーで変わるのは、広さより過ごし方

可能ならバルコニーは付けたい、というのが筆者の考えです。理由は部屋の広さではありません。

部屋にいながら、外の景色の中にいられる

バルコニーで変わる過ごし方
  • 朝食をテラスでルームサービスがある船なら
  • 入港の景色港に入っていくのを部屋から見る
  • 夕日・夜の海混み合うデッキに行かなくていい
  • 家族の外の空間子どもが寝たあと大人が過ごせる

この時間があるかないかで、船に乗っている実感がまるで違うと考えています。デッキに出ればどの客室の人も景色は見られますが、混み合う場所に行かなくていいのは大きな違いです。

景色が動く航路では特に効く

アラスカやノルウェーのフィヨルドのように、船が氷河や岸壁のそばをゆっくり進む航路では、バルコニーの価値が上がります。筆者の便でも、エンディコット・アームでは朝7時から昼すぎまで、上陸せずに船から氷河の景色を見る予定でした。

こうした時間が航路の中心になっている場合は、バルコニーを優先する理由があります。アラスカの航路の違いはアラスカクルーズの航路を地図で比べるにまとめています。

家族連れには、外に出られる場所が1つ増える

子どもが寝たあとも、大人がバルコニーで過ごせます。部屋の外にもうひとつ空間があるので、家族で同じ部屋に泊まるときの窮屈さがやわらぎます。

内側で十分な人

一方で、バルコニーにお金をかけなくていい旅もあります。寄港地重視の航路で部屋にいる時間が短いなら、内側にして浮いた予算を寄港地観光に回すほうが合理的だと考えています。

寄港地中心で、毎日朝から出かける

地中海やカリブ海など、ほぼ毎日寄港する航路では、日中は船の外にいます。部屋に戻るのは着替えと寝るときだけ、という日が続くこともあります。

この場合、バルコニーとの料金差を寄港地観光に回せば、行ける場所が増えます。どちらを取るかで旅の中身が変わります。

船内の施設で遊ぶのが目的

大型のカジュアル船で、プールやスライダー、ショーを楽しむのが目的なら、部屋にいる時間は短くなります。客室より、船の施設に予算を使うほうが満足度は高いはずです。

暗い部屋でよく眠りたい

窓のない内側の部屋は、朝まで暗いままです。時差のある旅で、ぐっすり眠りたい人には利点にもなります。

航路ごとの考え方

バルコニーか内側かは、航路の性格でほぼ決まります。予定表で、寄港日と終日航海日、景色を見る日を数えてみてください。

航路で決まる客室の考え方
航路部屋にいる時間考え方
アラスカ・
フィヨルド
景色を見る
時間が長い
バルコニー
を優先
地中海・
エーゲ海
日中は寄港地内側でも
大西洋
横断など
終日航海日が続き長いバルコニー・広めの客室
日本発着の
短い航路
2〜3泊の短い旅まず試すなら内側でも

アラスカ・フィヨルド:バルコニーを優先したい

氷河や岸壁のそばを船がゆっくり進む時間が、航路の中心になります。寒い日でも、上着を着てテラスに出れば、部屋から景色を見られます。

グレイシャーベイなど、景色を見る日がある便かどうかも確かめておくと判断しやすくなります。

地中海・エーゲ海:寄港地中心なら内側でも

ほぼ毎日寄港し、日中は遺跡や港町を回る航路です。部屋で過ごす時間は短くなりがちなので、内側にして寄港地観光を厚くする選び方が合います。

筆者はノールダムのエーゲ海・東地中海11泊でバルコニーの客室でしたが、寄港地を優先するなら内側という選択も十分ありだと考えています。

大西洋横断・終日航海日が多い航路:部屋で過ごす時間が長い

何日も陸が見えない日が続く航路では、船の上で過ごす時間が長くなります。部屋でくつろぐ時間も増えるので、バルコニーや広めの客室の価値が上がります。

このような航路は、船で過ごすこと自体を楽しめる人に向きます。初めてのクルーズなら、寄港数が多めの航路から始めるのがおすすめです。

日本発着の短いクルーズ:まず試すなら内側でも

2泊3日や3泊4日の短い航路は、自分にクルーズが合うかを確かめる旅でもあります。最初は客室を抑えて、気に入ったら次にバルコニーを選ぶ、という順番でもいいと考えています。

子連れ・三世代の部屋の取り方

家族連れは、何人で1部屋に泊まるかでも選び方が変わります。

1部屋にまとめる

3人・4人で1部屋に泊まると、3人目・4人目の運賃が下がる船会社があります。筆者の便でも、子ども(3人目)の運賃は大人より低くなっていました。

ただ、部屋は狭くなります。バルコニーやミニスイートにすると、外に出られる場所や居間のスペースがあるぶん、過ごしやすくなります。

2部屋に分ける

三世代や子どもが大きい家族は、2部屋に分けたほうが落ち着いて過ごせることもあります。隣どうしの部屋や、部屋の中でつながっている客室(コネクティングルーム)を用意している船もあります。

こうした部屋は数が限られるので、早めに空きを確かめるのがおすすめです。

第三の選択肢:船のランクを下げて、スイートを取る

「ラグジュアリー船の標準の客室」と「プレミアム船やカジュアル船のスイート」は、予算によっては同じくらいになることがあります。ランクを1つ下げて、そのぶん客室を上げるという考え方です。

ランクを取るか、客室を取るか
ラグジュアリー
船の標準の客室
  • チップ・飲み物・Wi‑Fi がほぼ込み
  • 小さな船、少人数
  • 小さな港に入れる
  • 寄港地観光は会社による
ランクを下げた
船のスイート
  • 広い部屋、
    バルコニー付き
  • 専用のレストランやラウンジ
  • 優先乗船などの特典
  • チップ・飲み物などは別料金が多い
○得られるもの △条件しだい ×気になる点。予算によっては同じくらいになることがあります。

ランクを下げると変わるもの

  • 運賃に含まれるものが減る(チップ・飲み物・Wi‑Fi が別料金になることが多い)
  • 船が大きくなり、乗客が増える
  • 入れる港が変わる

スイートで得られるもの

  • 広い部屋とバルコニー
  • 会社によっては、スイートの客だけが使えるレストラン・ラウンジ・デッキ(ノルウェージャンの The Haven、MSC の Yacht Club、セレブリティの The Retreat など)
  • 優先乗船などの特典

どちらが良いかは、何にお金を払いたいかで決まります。広い部屋と専用の空間がほしいならスイート、小さな船とサービス、込みの範囲を重く見るならラグジュアリー船です。

ランクの違いはクルーズ船の選び方で詳しく書いています。

ラグジュアリー船は、そもそも内側の部屋がないことが多い

リージェント、シーボーン、シルバーシー、リッツ・カールトン、シーニックなどは、全室スイートや全室テラス付きの船です(2026年10月に公式などで確認)。

プレミアムでも、バイキングの海の船は全室ベランダ付きで、内側の客室がありません。こうした船では、内側かバルコニーかで迷う必要がありません。

同じタイプでも、場所で過ごしやすさが変わる

客室のタイプを決めたら、次は船のどのあたりの部屋かです。予約のときに部屋の番号を選べる場合と、船会社が決める場合があります。

揺れの感じ方

一般に、低い階と船の中央のほうが揺れを感じにくいといわれます。ただ、揺れ方は天候と海域、季節でも変わり、場所を選べば揺れない、ということはありません。

上と下の階に何があるか

真上がプールデッキやビュッフェ、真下が劇場やナイトクラブだと、時間帯によって音が気になることがあります。船の甲板図(デッキプラン)で、上下の階を見ておくと安心です。

3人・4人で泊まるとき

3人目・4人目は、ソファベッドや壁から下ろす寝台を使う客室が多くあります。筆者の家族も、9歳の子どもはミニスイートのソファベッドで寝ました。

同じ客室タイプでも、3人以上が泊まれる部屋は数が限られます。家族連れは早めに確かめてください。

料金の差を、何で埋めるか

客室のタイプが変わると、運賃だけでなく、ほかの費用も変わることがあります。

チップが客室のランクで変わる会社がある

たとえばプリンセスのチップは、1人1日で内側・海側・バルコニーが18ドル、ミニスイートが19ドル、スイートが20ドルです(2026年10月18日に公式で確認)。客室を上げると、チップも少し上がります。

客室を下げて、寄港地観光に回す

筆者は、予算が足りないときは寄港地観光より先に、客室のランクを下げることをすすめています。客室を下げても、食事・ショー・寄港地は同じように楽しめるからです。

寄港地観光の予算の考え方は寄港地観光(エクスカージョン)で満足度が決まるに、総額の出し方はクルーズ旅行の費用は「総額」で比べるにまとめました。

客室を決める手順

  1. 航路の1日の過ごし方を思い浮かべる寄港日が多いか、終日航海日や景色を見る日が多いかを、予定表で数えます。
  2. 寄港地観光の予算を先に取る行きたい寄港地観光を選び、その費用を先に確保します。
  3. 部屋で過ごしたい時間を考える景色を部屋から見たい、子どもが寝たあとに過ごす場所がほしい、などの希望を書き出します。
  4. 残った予算で客室のタイプを決める部屋にいる時間が長いならバルコニー、短いなら内側や海側にします。
  5. ランクを下げてスイートも比べる同じ予算で、ランクを1つ下げた船のスイートが取れるかも見ておきます。
  6. 部屋の場所を確かめる上下の階、眺め、3人目以降のベッドを、甲板図で確かめます。

バルコニーが向かない人もいる

  • 日中はずっと寄港地に出て、部屋は寝るだけの人
  • 寒い地域・暑い地域で、外に出る時間がほとんどない航路の人
  • バルコニーのために寄港地観光をあきらめることになる人

最後のケースでは、バルコニーをあきらめるほうが旅の満足度は高いと考えています。

まとめ

  • 客室は内側・海側・バルコニー・スイートの4つ
  • バルコニーで変わるのは過ごし方。景色が動く航路では特に効く
  • 寄港地中心で部屋にいる時間が短いなら、内側にして寄港地観光に回す
  • 船のランクを下げてスイートを取る、という選び方もある
  • 決め手は、船のどこで時間を過ごしたいか

客室は、ランクの高さではなく、船の上でどこで時間を過ごしたいかで決めます。部屋にいる時間が短い旅なら、浮いた分を寄港地観光に回すほうが、旅の満足につながりやすくなります。

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