リッツカールトン日光に宿泊してきました。宿泊したのは「中禅寺湖ビュー キング」の部屋タイプで、「SPG AMEX」の無料サーティフィケート(無料宿泊チケット)で宿泊しています。
https://powertraveler.jp/ritzcarlton-nikko/こちらの部屋タイプは、通常11万円〜20万程の価格帯で予約が出ています。素晴らしい滞在でしたし、ホスピタリティもさすがは「リッツカールトン」な満足いくものでしたが、
・お金の考え方
・ホテルとの付き合い方
が変わってきたことを感じました。
まだうまく言語化ができていない部分ではありますが、以前、年間150〜200泊はホテルステイをしていた頃と比べて、自分の中の変化について3つの側面を書いていきたいと思います。
1.美しさと快適さは自ら創るもので、外注する意識がなくなった
以前は拠点を持たず、スーツケースに荷物の全てを詰めて、旅ぐらしをしていました。独身〜結婚してからの約4年間はホテルステイが中心。海外でアパートを借りて暮らしたり、ホテルを転々としながら移動したり、年半分以上はどこかのホテルに宿泊する日々を送っていました。
リッツカールトンは、よく大阪リッツに宿泊していました。当時はアメックスのキャンペーンでクラブフロアにお得に宿泊できたこともあり、多いときだと月に7日〜10日ほど宿泊しながら、クラブフロアでパソコンを広げて仕事していた記憶があります。
拠点がなかったこともありますが、快適な空間、美しい空間、こだわりを感じる空間、そうしたものは、
「お金を支払って体験をするもの」
「自分でつくるものではなく、外注をするもの」
と思っていました。自分たちで作るものではなく、外注をするもの。宿泊するホテルが増えていくほど、自分の中に快適さのバリエーションが増えていくような感覚。それが人生の豊かさだと思っていました。子どもが生まれ拠点を構えてからも、その感覚は続いていたと思います。
コロナで外出自粛がデフォルトになり、約2年。
あれだけしていた旅に出かけられなくなったことで、外に求めていた美しい空間を、自分たちの手でつくりあげる意識が生まれました。
どんな家具を揃えればいいのか、どんなディスプレイを飾ればいいのか、何をもってすれば心地よい空間に整うのか。これまで外に求めていたものを内に求めるようになりました。体験する側と、つくり上げる側では、まったく意識するものが違います。そして、つくる側で過ごした2年を経てリッツカールトンに宿泊すると、色んなことに気がつくようになりました。
・館内のアート
・装飾
・ソファの質感
・家具の配置
・どういう趣旨でデザインされた空間なのか
・その空間の方向性を決めているのはどのアイテムなのか
そんなことに目を向けるようになりました。
快適さや美しさを享受するだけではなく、なぜそれを感じさせるのかを考えるようになり、感じないのだとすれば何が原因なのかを問いかけるようになりました。自分が受け取ることができる情報量の変化にとても驚く滞在でした。
2.インテリアや食器に目が向くようになり、それがほしいと思うようになった
インテリアや食器、カトラリー、盆栽、格子、食事に使われる調味料など、細部にまで興味が行き届くようになりました。
こちらは和食レストランの内装ですが、色んなところに目が行きます。
こちらは栃木伝統的な技法である「鹿沼組子」をコンセプトにデザインされているのですが、幾何学的な床、テーブルの脚、テーブルもひとつひとつ模様が違っており、代表的な鹿沼組子の柄が表現されています。ひとつひとつの家具や調度品が、このレストランの空間をつくるためにオーダーされているのが伝わります。「こういう空間にする」というデザイナーの意志を、以前よりも感じ取れるようになりました。
和食器も、ついつい質感を確認したり、こういう形のお皿にこう盛り付けすると綺麗に見えるんだなあと、思えるようになりました。
また、この刺し身についていたお醤油がとても美味しかったので聞くと、純米吟醸酒粕で発酵させた日光醤油なのだとか。「誉」という醤油なのですが、日光の道の駅で購入できると教えていただき、帰りにお土産で買ってきました。こういう興味も、以前は生まれなかったもので、たのしみ方の幅が広がったと感じます。
3.経験への投資 → 家に投資をしたいと思うようになった
これまで僕らは「経験への投資」を重要視してきました。「一生涯、夫婦で語ることができる思い出に投資しよう」というのがコンセプト。夫婦での世界一周、クルーズ旅行、舞踏会参加、色々な経験をしてきました。
https://powertraveler.jp/post-3342/その選択は間違いではなく、その経験があったからこそ自分たちの生きる方向性が定まったと感じます。ただ今は、そうした経験に投資するのではなく、自宅に投資をしていきたいと、強く思うようになりました。
たとえば、新しい色のテーブルクロスを購入すれば、それだけでガラリと雰囲気を変えることができます。新しい形の花瓶を変えば、それに活ける花の種類が変わり、毎日に彩りが加わります。新しい食器が加われば、ご飯を食べるたびに新鮮な気持ちが生まれます。
そうしたものは、ホテルに宿泊するお金があれば、その何分の1、十分の1の資金で購入することができますし、一度購入すれば自宅の中で長く使うことができます。そうして、自分たちの手で美しさをつくり、居心地の良い空間をつくっていくことをしていくほうが、人生はより豊かになるのだと思うようになりました。
これからのホテルとの付き合い方
ホテルステイは好きですし、これからも出かけていくと思いますが、自宅をつくるセンスが磨かれれば、以前は気がつかなかった様々なものに気がつけるようになるはずです。
同じ金額を払うでも、受け取ることができる人間性が広がれば、よりたのしめます。
自宅作りに投資することを通じて、人間的にも成長したい。成長した人間性を持ってホテルステイをたのしみたい。今はそんな風に考えています。
阪口ユウキ