タイでもイタリアでもポルトガルでも、そして日本でも。
僕は旅人の一番の仕事道具は何かと聞かれたら「靴」と答えます。旅人の仕事は、まずなによりも歩くこと。そして、その風景を色んな人に届けること。パワートラベラーを名乗る僕としては「パソコン」と答えるのが定石ですが、それでも靴がなければどこに行けないわけで。やはり靴はとても大事にしています。
日本に住んでいれば、何足も靴を履き替えることができるのに対し、旅をしていると、基本的にはひとつの靴を、多くても二足(カジュアルとドレスシューズ)を、履き潰すことになります。
そして、歩きやすくてお洒落な靴は数万円はします。履きつぶすにはもったいない金額です。だから、少しでも長くひとつの靴を履き続け、最後には履きつぶすために、毎日磨く。それを、手洗いうがいや、風呂や、そんな日常あたりまえにやる動作として組み込んでいます。
靴磨きセット。これをいつも、スーツケースの隅に詰めています。
異国の街で靴を磨くことの意外なメリット
また、靴を磨く理由は他にもあって、たとえば異国の街で女の子と会ったとき、やはり靴は見られる。
これは日本でも同じですが、海外でもやっぱり見られる。特に、東南アジアではその傾向がとても強く、小奇麗なスニーカーや革靴を履いているだけで、サンダルのときと対応が全然違います。
ちょっと余談になりますが、東南アジアは収入が少なく、多少金銭的に余裕がある人でないとお洒落を楽しめません。
だから、お洒落をするということは、収入の良い仕事についているということの証にみなされます。逆にいえば、たとえお金があったとしても、汚い格好をしていれば恋愛対象に見られないし、小綺麗な格好をしていればそれだけで好印象を持たれる。靴に気を遣うことのメリットはとても大きい。
異国の街での処世術としての「靴磨き」。
パワートラベラーというライフスタイルは、気に入った街にある程度滞在することを前提としています。
異国の街にアパートを借りる、語学学校に通う、好きなひととデートをする。そのためには現地に溶け込む必要がありますし、「旅人」の格好、よくあるバックパッカーのような格好は、それには不都合が色々と多い。
僕らだって、汚い格好をした外国人とお近づきになるのは嫌だと思うんです。穴の空いたズタボロのスニーカーを履きつぶしているより、小奇麗なスニーカーや、デッキシューズや革靴や、そんなのをこざっぱりと履きこなしている外国人の方が安心する。女性目線だと、特に。
日本で過ごすのと同じ、小奇麗で、こざっぱりした格好。これを異国の街でも心がける。簡単なことですが、友達を作ったり、恋人を作ったり、異国の街で楽しくクラスためにまず靴に気を遣う。簡単なことですが意外と効果的な、海外の処世術だったりします。