フィレンツェで借りたアパートは、観光スポットとして有名なヴェッキオ橋から、徒歩3分の立地にある場所でした。
フィレンツェの街は、どれも中近世の頃から変わっていない街並みが残っています。そのひとつでも日本に持ってきたら、ちょっとした観光名所になりそうな、そんな家の中で暮らすことができます。
僕ら夫婦が越してきたアパートは、改築したばかりでとても新しいのですが、外観や部屋に辿り着くまでの階段は、とても歴史を感じるものでした。
「ちなみにこの建物、築何年くらいなんですか?」
とアパートの管理人さんに話を聞くと、
「だいたい18世紀くらいのものですね。フィレンツェの物件では、けっこう新しい方ですよ」
築200年で、新しいほう!!
たしかに街中をぐるぐる回っても、家の建て替え工事をしてる光景には、出くわしたことがありません。
残っているものをあえて壊して新しいものにする必要性はないよね。中が不便なら、何十年かに一回リフォームすれば住めるよね、という感じで、外観はそのまま残して、家の中とそこに住む人だけを新陳代謝させているようでした。
その街にはその街の、歴史やルールや雰囲気があります。
僕はなるべく移動を少なくして、その土地に出来る限り長く滞在するような旅を続けていますが、それは、少しの間だけでもその街の一員になって、こういったルールや雰囲気の中に自分を溶けこませたいという想いがあるからです。
いつでも自分が住み着けるような街を世界中に持つこと。お気に入りのカフェや美味しいバニーニが食べられるお店や、好きな雰囲気の路地裏を、たくさん自分の選択肢の中に持つこと。
いろんな街を巡りながら、そんな選択肢を増やしたいと思っています。
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