NASAが「10年間で人類を月面に到着させ、生還させる」というアポロ計画に着手したとき。
当時の技術力ではどうやっても「目標達成は不可能」とわかった技術者たちは、「人類を月に送りこむ」という目的を一度放棄したそうです。
彼らは、「何をすれば、どんな技術があれば、人類が月面に到達し、生還するか」を考えることを捨て、
「もし10年後にこの計画が成功しなかったとすれば、いちばん可能性が高い失敗要因は何だろうか」
ということを考えはじめました。
すると、
月面着陸に失敗する1番可能性が高い要因は、
「安定したロケットの燃料を開発することに失敗したからだ」
その課題をクリアしなお、成功しなかったとすれば
「大気圏を突き抜ける断熱材の開発に失敗したからだ」
と結論づけました。
NASAの技術者たちは、既存の技術力を発展させる方法ではなく、失敗要因の高い原因から解決していく、そのための技術力を新しく作りあげるという、逆転の発想・行動で計画を進めていったのです。
そして、その失敗要因のすべてをつぶしていった10年後。失敗する要因をすべて解決したNASAは、人類の月面着陸という途方もないプロジェクトを達成することができました。
「いちばん可能性が高い失敗要因はなんだろうか?」と問いかけ、逆算して動く。
何か達成したいものがあるのに、その達成方法がわからないとき。僕はいつもこのエピソードを思い出します。
たとえば、
「1年後に英語が喋れるようになる」
という目標を達成したいなら、
「どうすれば英語が喋れるようになるか?」を考えるのではなく、「1年後も英語が喋れなかったとすれば、いちばん可能性が高い失敗要因はなんだろうか?」を考えます。
そうすると、
- 英語を使う訓練が足りなかったから
- ボキャブラリーが不足していたから
- 英語習得の十分な時間を確保することができなかったから
といった、様々な失敗要因を見つけることができます。
そして、もし「英語を使う訓練が足りなかったから」という要因が、いちばん可能性が高い失敗要因だとすれば、次はそれを克服する方法を考えていきます。
- 英語のトレーニングができる朝活に参加する
- オンライン英会話で毎日スカイプ通話する
- LCCで週末は海外に飛んで行く
- フィリピンに短期留学に行く
など、その失敗要因を潰す行動をとっていきます。
こうした行動を続けていけば、どんなに英語力がなかったとしても、英語が喋れるようにならないはずがありません。
それがたとえどんな目標であったとしても。すべての失敗要因をつぶすことに成功すれば、目標が達成できないということは考えられないのです。