大学4年生の夏に、東南アジアを4ヵ月かけて周遊したことがある。
はじめての海外ひとり旅だ。
発展途上の未完成な風景、
路上に漂う香辛料の匂い、
日に焼けきった褐色の肌、
聞き馴染みのない丸っこい言葉、
ここに来なければ出会うことができなかったたくさんの人々。
僕の生きる世界は、あの旅で間違いなく広がったように思う。
ただ、その旅は楽しいものばかりではなかった。
財布の中身と相談する日々。
「この地域で一番に安い宿を…」と重いバックパックを背負い何件も梯子したり、
「あれおいしそうだけど我慢しなきゃ…」と、ぐっと生唾呑み込んでパンを頬張ったり、
「この船に乗ったら面白そうだけど…」とツアー料金に目眩を起こして泣く泣く冒険を諦めたり、、、
目の前に自分の知らない世界が広がっているのに、経済的な理由がために、それを見過ごさなければならない瞬間が本当に嫌で仕方なかった。
旅=自由。
誰もがそう思うだろう。僕もそう信じて疑わなかった。
けれど実際には、その「自由」には、たくさんの障害や制限があることを知った。
日に日に減っていく銀行残高。
時が経つほどに狭められていく旅の選択肢。
言葉や文化を深く理解することが叶わない限られた旅の期間。
見えない将来への不安。
それらの制限は、「いかにお金をかけずに遠くへ行けるか?」という情熱の燃料になる一方、財布の中身がさびしくなるほど、心は荒み、焦燥感に追いたてられる。
それは、とても、自由と呼ぶにはほど遠い精神状態だった。
自由なはずの世界に身をおきながら、そんな状態になってしまう自分を本当に悔しく感じたものだ。
「持続可能な旅」を実現したい。それが僕が起業した一番の理由だ。
そして、今から11ヶ月後、2012年4月に僕は出国をする。
この旅では、その当時の僕が「やりたい」と思いながらも、手の届かなかったことを全て詰め込もうと思っている。
現地の語学学校に通って,現地語をマスターすること。
小説を執筆し,それを電子書籍として発行すること。
異国の街で恋人をつくり一緒に暮らすこと。
そういったひとつひとつの目標を叶えるために、PC一台あればいつでも稼ぐことができる仕組みを作りたいのだ。
そして、その方法を体系化し、誰にでもできる状態に磨き上げ、次世代の旅人、特に若い世代にプレゼントしてまわりたい。
そしてそれは決して難しい話ではないと思う。
世界一周を貧乏旅行で実現するとき、その予算はだいたい80万-100万とされている。
8ヵ月間でそれを実現するとすると、1ヵ月あたり10万円が銀行口座に振り込まれれば、旅を継続することができる計算になる。
そしてそれはきっと、1年間しっかり準備に取り組めば、実現できる現実的な金額であると思うのだ。
今,インターネット上の情報世界では、
「月10万円」という金額は、
「副業」であったり
「自由になるためのお小遣い」
という位置づけになっている。
僕は「月10万円」という単位を「世界一周」に転換したい。
それだけの力があれば、今スグにでも旅立てるのだということを、この日本社会に朗らかに提唱してみたいのである。
僕はまだ、1円も稼げていない。スタートラインに立ったばかりだ。でも、この情熱だけは誰にも負けない自信がある。
残りあと11ヵ月。
真正面からぶつかって,夢を叶えてやるのだ。