8日目:弘前城から南へ220キロ走破、八郎潟へ。夕焼けに沈む八郎潟に心が踊る。

  • 走行距離220キロ
  • ガソリン3000円/青森銀行記念館200円/小倉温泉350円
  • 弘前に舞い戻り弘前城、青森銀行記念館、文化センターでプラネタリウムを見物。
  • 八郎潟まで国道7号線で延々下る。なぜ八郎潟の名前が印象的なのか未だに思い出せない。
  • 秋田魁日報を面白く読む

6時起床@道の駅ふかうら

日本海を展望する。海の色が、津軽で見たのと同じ深い藍色に染まっていた。海風が強く体当たりしてくる。

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深浦は強い町だ。世界遺産白神山地の入口であり、西には日本海を望み夕日を一望できる。

東北の観光地を回ると、彼らは自分の土地の強みをよくわかっていると感じる。故郷の匂い、味、風土、というものがたしかにあるように感じる。

僕は千葉に長く住みながら、「故郷」という感覚がない。生まれた横浜は思い出のひとつもない。故郷の友達もいない。母親は福岡で、親父は山口の人間だ。千葉に根付いてはいない。その両親に育てられたのも理由かもしれない。

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弘前城はこじんまりとしてかわいらしく、清潔な印象を持った。

その足で、青森銀行記念館に立ち寄った。ルネサンス風建築様式、左右均等の堂々たる立ち振る舞い、構造的技術的にも優れているそうで、昭和47年に国の重要文化財に指定された。

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設計施工者の堀江佐吉は、弘前が生んだ明治の名匠で、旧弘前市立図書館、カトリック弘前協会、旧東奥義塾外人教師館など数多くの華麗な洋風建築を手がけた。金木にある太宰治の生家・斜陽館もこの人の作だという。

10時半から、弘前市立文化センターでプラネタリウムを見た。天体望遠鏡のような映写機、それを360°取り囲む円形の座席、その景観が懐かしかった。

最後に見たプラネタリウムは池袋だった。そのとき誰が隣に座っていたのだったか、記憶を辿ったが思い出せなかった。

番組は、カシオペア、アンドロメダ、ケフェウス、ペルセウスといった秋の主要な星座を紹介するもので
眠たげな声のナレーターが緩慢に星座物語を喋っていた。市の職員の誰かが吹き込んだものかもしれない。無料だったのは嬉しかった。無料にも関わらず5人しか客がいないことは心配だった。

ガソリンスタンドで、昨日セルフスタンドで忘れていったガソリンの蓋を受け取る。昨日、80キロ南に走って白神山地を過ぎてから、ガソリンの蓋を忘れていることに気がついたのだった。来た道をひた戻り、ようやく蓋が車の脇腹におさまる。今朝が暖かい朝でよかった。これが本格的に冷え込むと、ガソリンが凍結して故障するような気がして不安だった。

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車で歌う。昨日より声が出ているような気がした。窓を全快にして、広大な田舎道を、アニソンをガンガンかけて大声歌いながら走って行く快感ははかりしれない。

道の駅@かみこあにで昼寝。

八郎潟手前、小倉温泉(350円)に入浴する。余分な髭を剃り落す。

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道というのは「美知」とも書くのだと知る。「美しいもの」を「知る」場所。夕日沈み行く八郎潟の美しさは格別だった。

西海岸に近い町の夕日はどこも素晴らしいだろうが、秋田に着いた第一印象はこの光景だ。

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海とも川とも違う、干潟ならではの深みある光の反射。濁った水面が光を吸収して、銅鏡に照らしたような、落ち着きあるなめらかな輝き。ざらざらとした手触りが伝わってくるような、独特の深みがある夕暮れに胸が踊った。

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