59日目:甲府は背の低いさっぱりとした街だった

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温泉(400)、ガソリン(1000)、パンと水(231)、古本(915)=2546

・冒険家の植村直己は日本徒歩縦断を、所持金3万5000円、タオル一枚、パンツ一枚と手帖を腹巻きに、ただそれだけの装備で52日間を走破した。ただ、3000キロという距離感を身体に叩き込むだけの、シンプルすぎる理由である。

・衛星あかつきは金星の軌道に乗ることに失敗した。次の軌道に乗るチャンスは、6年後であるという。なんと壮大な計画だろう。新しい星を知るということだけでも、これだけの労力と時間が必要なのだ。

・もはや美術館や博物館などはどうしても行くべきもののみに絞ろう。その判断の基準はわからぬが、しばらくは、街をくたくたになるまで歩き回ろう。旅をしているのに運動不足などとは、怠慢の極みである。

・「ターコイズブルーの戦い」を1時までかかって書く。表現が単調になっている。宮沢賢治のような書き方はそろそろやめにしよう。

・豊富を自転車で走る。四方を取り囲む山々の中腹まで銀箔の雪化粧がおりて美しかった。甲府市は背の低いさっぱりとした街だった。白黒写真が似合う、侘しい雰囲気があった。猫の多くいそうな路地が多く、昭和の匂いが色濃く残っていた。

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