55日目:天城越えでスピカを覚えた日

ガソリン(1375)、野菜(105)、パン(120)、上原仏教美術館(300)、了仙寺(450)=2350

下田を回る。下田は小さき港町にて自転車の必要はあらず。魅力的な路地脇道が多く、日向に猫の姿も見かける。猫の多い町は人間にとっても住みやすき町と誰かが言う。

了仙寺では開国寺の資料と、特にハリス提督の侍女となった唐人お吉の一代記が印象的だった。

ハリス提督に見初められたことで狂った人生の、最期の拠り所は、病床に伏した提督の看病でしかなかったことは哀しいことである。

混浴の文化を根絶したのは、下田に来日したこの米国人の、キリスト教的観念に照らし合わせて「なんと野蛮な文化か」と嫌悪露に圧力をかけたからという節もある。

天城越えを果たす。旧天城隊道は旧道にて、実は普通に車で通ることが出来る。この苔を覆ったクラシックな造りは荘厳である。もはや役目を果たした哀愁が漂う、味わい深いトンネルである。

この先の国道が正面衝突の事故で渋滞していた。麓からのぼってきた人によると、2キロに1時間かかったそうである。道の駅天城越えで一泊。この日の星は素晴らしかった。乙女座のスピカを覚えた。

目次
閉じる