52日目:箱根峠をのぼり、富士に仰天する

朝飯(240)、昼食(200)、駐車場(600)=1040

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横須賀を巡る

横須賀は、すでに街としての役割を果たし、くたびれていた。

三笠公園やヴェルリー公園の遊歩道がいくらきれいに整備されようと、そこから軍艦の群れを眺めることが出来ようと、今後、この街が脚光を浴びるようなことはないだろう。雨風にさらされ汚れた英字の看板の並びは侘しかった。

僕の生まれた町は、横浜市鶴見区東寺尾という地区らしい。保土ヶ谷と思い込んでいたのはなぜだったのだろう。横浜市の北西部にあり、川崎市との境目にあり、久里浜からは35キロも北上して戻らなくてはならなかったので諦めた。鎌倉、茅ヶ崎、小田原を抜けて箱根へ。横須賀から、鎌倉まではわずか6キロしかないという事実に驚く。
鎌倉の海岸線は、特別にきれいだ。首都圏に誓いから人が集まったと考えるのではなく、ここが特別にきれいな海が見渡せる地域だから人が集まって来たと思うべきだろう。東海道の歴史についても調べてみたい。

箱根の峠にさしかかる

箱根の峠は、狭い土地に温泉宿が犇めきあって心休まるときがない。あれほどの急な峠の道に店を構えて繁盛しているのは、この箱根くらいではないか。

箱根駅伝で名を馳せ、東京から1時間で来れる温泉地であり、峠からの富士の眺めも絶景である。2、3温泉が噴き出ることがなければ、ここの賑わいはまた違うものになったろう。温泉も美術館も強気な値段設定で腰が引けてしまった。

箱根神社は素晴らしかった。急な階段の傾斜に沿って、杉の大木が天を目指して直立する。一本でも小さな神社に移植すれば  として祀られるサイズである。この麓には芦ノ湖が瑠璃色に光っており、夕日が関東山地に隠れるまで眺めていたがなかなかよかった。角度を変えると、その山間から銀色の富士が凄まじい存在感で夕日の紅に染まって頭を突き出しているのがわかり、仰天した。仰天、という言葉がそのままあてはまるほど、生々しい存在感に驚いた。

道の駅箱根峠は、さすがにここまで登ってくる客はいないのか、みな温泉宿に泊まってのんびりしているのか、人も少なく静かである。久しぶりの道の駅の夜はやはり落ち着く。なにも心配することがない。米も炊ける。水場もある。日本史の勉強をはじめる。

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