18日目:僕は自分の人生に絶望しているが、それと同じ分量の希望も抱いているのだ

走行距離:65キロ

購入したもの:野菜ジュース(105)、パン(250)、昼食(200)、オルゴール美術館(800)、藤田喬平ガラス美術館(1000)、駐車場(1100)、

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二日目の松島

二日目の松島は、松島には興味の片鱗をも向けず、美術館を巡る。

松島の観光料は高い。宮城全体がそんな印象がある。少ない観光資源で最大限搾り取ろうという算段が露骨だ。

石巻の駐車場しかり。伊達政宗のろう人形館なぞ1000円もする。遥々やってきて観光施設の金銭うんぬんに心を割きたくないが、もっと気持ちよく名所巡りをさせてもらいたいものである。俺が貧乏なだけか。

ベルギー・オルゲール美術館

オルゴールというとシリンダー型のものしか知らなかったが(小学校時代、卒業制作で校歌のメロディを刻んだオルゴールを制作した)、これは一番初期のもので、非常に高度な専門技術が必要な上に簡単な曲しか演奏できないという欠点があった。

次にディスク式のものが広まり、さらにふいごを使い風を送り込む事で多重演奏を可能にするフイゴ式のものがある。世界最大級のオルゴールはオルゴールというより、絡繰りの要塞のようであり、圧巻であった。

ガラス美術館

ガラス細工は光と共にある。光の反射と、光によっていかに色彩が浮かび上がるかまで念頭に入れて、焼き上げるに違いない。これは他の芸術作品にはない特色だと思う。

ガラスのネックレスやピアスは、宝石のようなギラギラした嫌味がなく、かといって幼稚でなく、控えめな輝きはさりげなく、大人びていて素敵だった。

仙台駅前で演奏をする

仙台駅前で演奏。仙台駅は理想的な人数と駅構造。どうして夜中の商店街に座り込みをする必要があるのだろう。

楽器演奏者が2人、ヘヴィメタルのベーシスト(ベースを初めて1年目。友達を連れて来ると言ってくれたけど結局戻ってこなかった)と、大学生のドラムの女の子(抗不安剤を飲んでいるという。4年生だが来年からどうするかまだ決まっていない)が話しかけてくれる。

女の子は真摯に僕の話をきいてくれた。「こんな人がいることに勇気づけられます」という言葉ももらった。僕は自分の生き方を変えなくてもいいのかもしれない。

「私たち向こうでパラパラの練習してるけど、聴いてるねー」

と、よく日焼けした、髪型と服装がぶっとんでいる、ギャルの女の子とも絡めた。仙台ではまだパラパラは生き残っているらしい。

アニオタの彼は延々とついてきてくれた。演奏妨害だと思う事もあったが、マクロストークも存分にできて楽しかった。

僕の芸は大衆受けしないし、人が大勢取り囲むようなものではないけれど、特定の人たちはぐっと近づいてきてくれる。今のうちはそれで十分。

寒い。骨の内側から蝕まれていくよう。

僕は自分の人生にだいぶ絶望しているけれど、それと同じ分量の希望を抱いている。

希望は、人が人生を投げ出さないための最後の砦だ。僕は希望によって生かされている。

「23歳無職」として卑屈に生きるより、「23歳旅人」として堂々と世界を渡り歩きたい。

旅人としてのプライドを持ち、責務をしっかり果たしたい。責務とは、大勢が見る事の叶わない、素敵な風景を発信することだ。

青森ー宮城間での目的は十分果たした。路上に慣れること、演奏に自信を持つこと、レパートリーを増やすこと。

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