僕がドミノピザを注文するまでに乗り越えた4つのハードルの話をしよう。

基本的に阪口家は、家では玄米食であったり、和食が多いのですが、
昨日は珍しく妻が「ピザが食べたい」と言うので
ドミノピザに注文をとることにしました。

食卓の上に並んだピザを眺めながら、

「以前こういう風に食卓にピザが並んだのはいつだったろう?」

と思い出してみると、

親父がボーナスだか昇進だかで機嫌がすこぶる良かった日の、
小学校高学年の夕食時まで遡らねばならず、

そんなにも長い間、自分は宅配ピザと無縁の生活を送っていたのか

と愕然とする気持ちがしました。

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食卓の中心に鎮座したドミノピザ。その存在感を前にして思ったのは、

「どうして自分の食前には、こんなに長い間ピザが並ぶことがなかったのだろうか?」

という素朴な疑問でした。

一人暮らしをはじめたのが19歳の大学2年生のとき。
起業をしたのは2011年。
考えてみればこれまで、ピザを頼むチャンスはいくらでもあったはずです。

デリバリーピザを目の前に
「どうして自分はこれまでピザを注文することがなかったのか?」を分析してみたところ、

食前にピザが並ぶためには、次の4つの条件を満たさなければならないことに気が付いたのです。

目次

1.出前に4000円を出せる経済的余力があること

前記の通り、僕が一人暮らしをはじめたのは、19歳の時のことです。

その当時、学友たちと部屋で語り明かす機会に

「つまみにピザでもどうか?」

という話題はよく出ていたと記憶しています。

携帯電話でドミノピザを調べ(当時はスマホがなかったので、ガラケーで検索)、
ピザのラインナップを皆で覗き込むようにして見る。

そうして価格を見てみると、
ドミノピザのLサイズは、1枚で4000円近くはします。

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食べ盛りの大学生ともなれば、
Lサイズ1枚で胃袋を満たすこと叶うはずもなく、

かといって、複数枚を腹いっぱい注文するだけの
経済的余力は僕らにありません。
仕方なく「米でも炊いて、鍋でもやるか」という流れになるのが常でした。

出前のピザというものは嗜好品であり、自分には手が届かないものなのだ

ピザの話題が上り、それを諦め、ということを繰り返していた結果、
いつのまにかそうしたマインドブロックが、
僕の中にできてしまったのではないかと思います。

2.ピザを一緒に囲んでくれる人がいること

2011年に起業をして、生計を立てることができてからもう5年。

お陰様で、夕食時に出前で4000円のピザを
注文できる経済力余力はつけることができました。

しかし独身時代、僕の頭の中には、

夕食にピザを頼む

という選択肢が生まれることはありませんでした。

なぜなら、ひとりで囲むピザは、想像するだけで寂しかったからです。

単順にピザを食べるのが好きな方であれば別ですが、
そうではない僕にとって、ピザという料理は、
誰かと一緒に切り分けて食べるものという定義ができあがっています。

基本的には、パソコンひとつあればできる仕事で起業し、
友人や知人との繋がりを断ち、
黙々と部屋やカフェにこもって仕事をしていた僕には

長く、気軽にピザを囲んでくれる仲間の存在がありませんでした。

この日は、妻と、妻の弟さんと三人でピザを囲んだのですが、
周囲に、あたりまえに一緒にいてくれる人がいることで
ようやく、ピザをデリバリーできる日が迎えられたのだと感じました。

3.ピザが届く拠点があること

結婚したのが2014年の夏。

そこから2016年に大阪に拠点を構えるまで、
僕ら夫婦はずっと旅ぐらしをしていました。

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ベルギーの首都・ブリュッセルにて借りたアパートでの一枚。

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地中海に浮かぶサントリーニ島を丘の上から一望する。

国内半分、海外半分。

ホテルやコンドミニアム、現地のアパートを借りながら
決まった拠点を持たずに転々としていたのですが、

そうした生活を続けていたことも、
ピザのデリバリーを注文できない原因のひとつのように思います。

ホテルでもピザは頼めるわよ。たぶん、海外でも。

と妻は言うのですが、

大学時代、宅配ピザに対するマインドブロックが
すっかりできあがっていた僕にとっては、

ホ、ホテルにピザを頼むだって!?

一体、なんという贅の極みなのか。
それはルールを逸脱した行為のように思えたのでした。

そうしたこともあって、
旅ぐらし中は一度もピザのデリバリーを頼むことなく、

拠点を構えて落ち着いた2016年この秋にようやく、
ピザの宅配を部屋に迎え入れることができたのでした。

4.その拠点の決定権を持っていること

拠点ということであれば、実家に住んでいたときも、
妻の実家に一時的に居候をさせてもらったときにも、
あったといえばありました。

しかしその拠点において、

ピザを食べたい、それじゃあ注文しよう

と、決定権を下す権利は僕にはありませんでした。

4000円といえばだいぶ食材も買えます。

外食をすることに比べれば安くは済みますが、
それでも出前にしては高い金額です。

その4000円を、ピザに出す。

その決定権を、自分が自由に下す。

今自分の拠点を構え、財布の紐を握り、
その決定権を持つにあたって、

ようやく僕は、

今夜はピザを頼もう

と宣言することができる決定権を持つことができたのだと思いました。

今僕は29歳、ここに至るまでに実に29年もの歳月がかかりました。

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食前に鎮座するドミノピザ。このピザを招き入れるために僕は、

  1. 出前に4000円を出せる経済的余力があること
  2. ピザを一緒に囲んでくれる人がいること
  3. ピザが届く拠点があること
  4. その拠点の決定権を持っていること

という4つもの高く険しいハードルを乗り越える必要があったのです。

それを考えると、まるで目の前のドミノピザは、
自分の人生の歩みを象徴しているかのような、

「これまでの俺の歩みは間違っていなかったのだと」

証明するような一枚に思えてなりませんでした。

そうして神妙な思いを胸に、口に運んだピザは、
脳内で憧れ、想像していたような美味しさを越えることはなく、、、

夢から覚めたような現実と
真理の末端に触れたような、そんな気持ちがしたのでした。

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